その後は特に暴走したミルズが呷りまくって手が付けられない事態に。結果酔い潰れたミルズをマッシモが担いで帰り、シドーと後片付けしたシャルも帰っていった。
残ったシドーはもう一杯だけとカウンター席へ移り、ペロが対応した。
「……大変だったわね。片付けありがとう、助かったわ」
ルビーラを差し出したペロは労いの言葉を掛ける。
「……大したことしてねえよ。いつもと変わらんだろ」
受け取ったグラスに口を付ける。素っ気ない程度だが心優しい彼にペロはクスッと口角を上げる。
「……閉店時間近いし、落ち着いているから、お礼というかシドーの疑問に答えられること話してあげましょうか?」
「きすのことか?」
「ええ。騒いでたから聞こえてね」
にっこり微笑むペロ。
「じゃあ教えてくれ。きすはどういう意味でするんだ?」
「………そうね。色々な意味がある、と言えるわ。額にキスは親しみといった具合にね。それで唇へキスは……真っ直ぐな、あなたが好きっていう愛情表現かしら」
「……好きの愛情表現……」
「自分の心の中にある気持ちを言葉の他に行動で伝える行為の一つよ。シドーが見たのはヒースとソフィ?」
「……ああ」
「二人はお付き合いしてるからキスをしてお互いに好きだって伝えて確認してるのね」
「お付き合いってそういうこと出来るのか?」
「……お互いに好き同士が恋人関係になることを指すのかしらね。ただ、恋人関係でなくても出来る場合もあるわ……アナタが複数の女の子としていたこと、とかね」
指摘にシドーは何故だか胸の奥がつきっと痛んだ。
「………しちゃいけねえことだったのか……?」
問い掛けにペロは首を少しだけ傾けて。
「………アナタも相手の子もしたいからするんでしょ? お互い特別な感情が存在しない、それでいいって思ってるならそれでいいんじゃない? 自由だと思うけど」
ペロの薄い微笑みは消え、一呼吸置いて言う。
「………そんなの、寂しい、と思うわ。私なら……」
「………………」
さながらペロから遠回しに己の行いを責められた気がして、自覚し出した後ろめたさを無理矢理流し込むようにルビーラを呷った。
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