「……オマエも分かってると思うがオレはヒトではない。だがヒトの身体を模していてちゃんと機能もしている。なあ……オレはオマエが好きだ、オマエはどう思ってる?」
言葉に込められる偽りなき純粋たる好意がひしひしと伝わってくる。問われるまでもなくシドーを想う気持ちは定まっている、しかし素直に告白したくても己の悩みが実行を阻むのだ。
喉まで出掛かった〈わたしも好き〉の言葉は気持ちと共に飲み込んだ。
「………ありがとう。わたしはシドーのこと、大切に思ってるよ。素敵な相棒……では駄目かな……?」
本当と嘘と妥協をない交ぜにした自分に都合の良い言葉。後ろめたくてシドーの目を真っ直ぐに見られないでいたら、隙を突かれて間合いを詰められ両肩を掴まれた。力強く少し痛いくらいだけどシドーの痛み程ではないだろう。だって目の前の顔が心痛極まりないといった表情なのだから。
「………クリエ……それはオマエの本心なのか? オレの気持ちに応えてくれないのか……?」
肩を掴む手が、ぐっと反応する。間近の赤い瞳を避けるように伏し目のまま答えた。
「……わたしはね、ヒトだからヒトじゃないからって差別するつもりは全くないし、心を通わせられたらみんな仲良くできるって信じてる。なのに……命の長さの違いを理由に、わたしは……壁を作ってしまってるの……。それは結局……差別しているようなものだよね?」
「………それは……」
「…わたしはただのヒトだから、必ずシドーより先に生を終える。あっという間にいなくなっちゃうんだよ。だから……」
その瞬間、両肩の圧迫感からは解放されたが今度は身体へ及んだ。腕を回され抱き竦められたのだ。
「…シ…」
「--それでも構わねえ。オマエと一緒の時間を共にしたいんだっ。もしオマエがいなくなった後のことなんて、オマエが気にする必要はない。それにオレがクリエを選んだんだ、好きなんだクリエ……オマエの人生オレに寄越せ!」
こうまで行動で示されてしまうと絆され抗えなくなるではないか。
……これって神さまからの求愛だよね。応じないと罰が下るのかな。
「……しど……わたし、なんかで…いいの……?」
鼻声になっていた。涙が溢れて零れてゆく。
「……いいんだ。だからオレのためにもオマエの限られた時間を精一杯生きてくれ」
しゃくり上げて次の言葉をしっかり出せないから、力一杯のつもりで広い背中に腕を回して返事の代わりと示した。
「……愛してる、クリエ……」
[1回]